St. Martin への旅、あるいはパスポート盗難の記録(Day3 大事件発生)
今日は島をぐるっと一周することにした。ほんとうは一日ビーチでぼけっとする日があれば良かったのだが、短い日数の旅では仕方がない。
Simpson Bay から東へ車を進め、昨日行った Philipsburg へ。そこから出来るだけ海岸をたどれるような道を探して北上。なるほど、これを南欧風と言うのだろうか。海に近い斜面にならぶ瀟洒な家々。海には大きなボート、ヨット。まあ、大きなボートはニューヨーク周辺でも珍しくはないが、海の青さと太陽の強さで違ったリゾート地の景色となる。東岸の海と景色は、オランダサイドとは雰囲気が異なり、印象的なものだった。Oriental Beach というところはヌーディスト・ビーチで有名らしい。そこへは行っていないが、他のビーチでもトップレスの若い女性などは結構みかけるのだった。
Philipsburg へ向かう途中から Simpson Bay を望む。ホテルは左の山の向こう。ビーチの奥の平らな建物が空港ターミナルだ。
Philipsburg のビーチ。大型客船が停泊していた。
Oyster Point というところ。ここはフランス領。
海岸線と海が美しい島の東側。
そして、北部の街、Grand-Case へ。ここにもひとつ空港がある。無料の駐車場へ車を停めて海辺の通りを歩いた。レストラン、バーなど店が並んでいる。ちょうど昼時なので一軒のレストランに入ってみることにした。海に面して屋根はあるが窓がないという半分テラスのようなレストラン。そんなに沢山食べられそうな腹具合でもなかったので、ランチスペシャルのスモークしたツナのサラダというのを注文。和風ではないのだがワサビが付き、サラダには海藻が入っておりとても美味しいものだった。パンが付いてくるので、ランチとしては十分な量。冷たいコーヒーを頂いてレストランを後にした。
レストラン。
通りの様子。
なんだろうこの車? 走らせたらおもしろそう。
海の美しさはちょっとため息が出るレベル。
Grand-Case から南下すると一昨日行った Marigot の街なのだが、途中のビーチに寄ってみることにした。Friar's Bay Beach。そしてここで事件が起きた。
ビーチの駐車場に止めて、ちょっとここで遊んでいこうかどうか考えるために、カメラだけ持って車を離れた。歩いてビーチの中央へ。閉まっている売店の周辺には何故か2匹の豚が歩き回っていたりして、何枚か写真を撮って車に戻ると助手席にあるはずの荷物がない。車のロックはたしかにしたが、運転席側のロックが壊され、車内のものが全て盗まれていた。ほんの5分ほどのことだった。クレジットカード、キャッシュカード、ドライバーズライセンスが入った財布。パスポート、iPhone、iPad2、コンパクトカメラ、カメラバッグに入ったレンズ4本。全てやられてしまった。
今にして考えれば、外から見えるところに貴重品を置いていたのは全くの不注意だし、ホテルに置いておけば良かったものもあった。リスク分散を考えれば、クレジットカードや現金は分けて保管すべきだった。しかしそんなことは全て結果論だ。
自分の車の右に一台はさんで男女の乗るセダンが止まっていた。単に休んでいるのだろうと、車上にいることをあまり気にとめなかったが、歩いて戻る頃走り去った。他の誰かが盗んだのであれば当然それに気づくはずで、彼らの犯行と考えて間違いないだろう。要するに自分のような不注意なカモがやって来るのを待ち構えていたわけだ。まったく馬鹿なことだ。
すべて嘘なんじゃないかと現実逃避を試みたが、この状況は疑いようがない。ではこれからどうすればよい?
まずは警察に行かなければならない。ここはフランス領なので、フランス側の警察に届ける必要がある。とりあえず Marigot へ行き、警察で事情を話した。幸い、ここの警察官は皆英語を話す。手書きで調書を取られた後、Grand-Case の警察(State Police と言っていた)でステートメントを発行して貰わなければならないと言われた。場所は消防署のすぐ裏側で、消防署のランドマークを聞かずに行くと見つけられないようなところだ。ここで若い警官に再び事情を説明し、更に上司の警官に説明をしてレポートを作って貰うこととなった。この上司の警官は英語が堪能という感じではなく、単語の発音がフランス語で意味が判らなかったり、アルファベットの説明が通じなかったり、ちょっと大変だった。たまにキーボード打てと言われて打つキーボードが欧文向け?のキーボードでアルファベットの配列が異なるのだ。そんな感じで、車の損害の証明、盗まれた品物のリスト(少し挙げ忘れた)、そしてこれがパスポートの代わりになる、と言われた身分の証明のドキュメントを渡された。これで帰れるはずだという。
ホテルに帰り、会社へメール。一応明日、飛行機には乗れるはずだという内容を送信した。本当に帰れるのかどうかは自信がないが。
さて、無一文になってしまった。幸いホテルの冷蔵庫には少し食料が残っていた。冷凍食品のご飯は明日に取っておくとして、今夜の夕食はマンゴー1個。まだ熟していない堅いマンゴーだった。
クレジットカード2枚は電話をして止めて貰った。citi カードは緊急でここまでカードを送ってくれるというオプションもあったのだが、明日飛ぶつもりでいたので自宅に送って貰うことにする。これも後になってみれば誤った判断だった。ホテルへは事情を説明して、フロントから電話を使わせて貰った。
iPhone と iPad はその所在地を探したり、メッセージを送ったり、内容を削除したりする機能があるが、いずれも反応はなく犯人捜しの役には立たなかった。
問題のビーチ。