St. Martin への旅、あるいはパスポート盗難の記録(Day1 出発)

New York へ赴任して、初めての長期休暇を貰った。行き先を色々考えたが、アメリカへ入国してそろそろ2年が経過するため、I-94 の滞在期限が近づいている。ビザはまだ有効期限の余裕があるが、I-94 の期限の方が強いのだ。これは一度米国外に出国して、再入国すれば更新される。(ナイアガラなどではカナダへ渡っても更新されないなど例外がある) そのため米国外へ出ようと考えた。カナダの Yellowknife で秋のオーロラ等と言うことも考えたが航空券が高い。そこで、前から一度行ってみたいと思っていた St. Martin へ行くことにした。米国からだと、かなり安い航空券が買える。値段はNY からで往復 $300 くらいからだ。
St. Martin がどこにあるのかを知っている人はそれほど多くないと思う。カリブ海キューバがあり、東南の方向へ、ドミニカ共和国プエルトリコと続く。St. Martin はプエルトリコから更に 3〜400km 程のところにある。島は南北にオランダ領とフランス領に分かれている。一つの島を複数の国が管理しているのはここだけだそうだ。二つの領地の間では行政機関も公用語も通貨も電力の規格も全て異なる。オランダ側は英語で米ドルが主要通貨で、電気も米国と同規格なのでほぼアメリカと変わらない。しかし、二つの領地の間では国境のゲートがあるわけではなく、普通に皆行き来することが出来る。突然道路標識の下の文章がフランス語になる。
そして、もう一つ知られているのは、Princess Juliana Airport (SXM) だ。ここは、滑走路と海を挟んで一般人が通行可能な道路とビーチがあり、立っている直ぐ上を通常ではあり得ない近距離で飛行機が着陸してくる。また、離陸時には、ジェットブラストによる熱風で危険だという内容の看板が立っていて、その噴射を体感できるのだ。
旅行のブッキングは、traverocity というサイトを使い、航空券、3泊のホテル、レンタカーを含めて税込み $750 程だった。L.A. へ行くよりも随分安い。安い分、飛行機は NY からの直通便ではなく、Charlotte という North Carolina の空港経由便で、出発空港は JFK ではなく、LaGuardia(LGA) からだ。
今回の旅は大事件が発生したのだが、トラブルは初日から始まっていた。旅客機への搭乗が少し遅れてしまい、機内持ち込み荷物のダッフルバッグがコンパートメントへ収まらず、貨物室行きとなってしまった。空港のカウンターで手荷物を依頼する場合、最終目的地がはっきりと書かれているので通常は問題が起きないのだが、荷物を預けた客室乗務員に Baggage Claim で荷物を受け取るのかどうかと確認すると、空港で確認してくれという。荷物が自分とリンク付けされていれば、最終目的地へそのまま行ってくれる可能性があるし、Baggage Claim で受け取るとすると、通常再度セキュリティゲートを入らなければならず乗り換えの時間に遅れる可能性がある。おそらく聞く相手と訊き方が悪かったのだと思うが、St. Martin 行きの搭乗口の受付の女性に確認したところ、荷物は大丈夫だ、St Martin で受け取れる。という。念のためにステータスを確認してくれないかとお願いしたが、絶対大丈夫だという。不安を残しつつ一応信じてそのまま St. Martin へ向かったが、着いてみると St. Martin の Baggage Claim には自分の荷物は現れず、調べて貰ったところ Charlotte に留まっていた。バッグの中身は衣類と PC。PC は紛失の可能性を考えると怖かったが、現実的には着替えがなく、南の島をジーンズで過ごさなければいけないのが辛かった。
レンタカーは MT が選択可能だという理由で、AVIS にした。車種はヒュンダイの i10。踏み始めると直ぐに切れるクラッチと、ブレーキのフィーリングは良くないが、他は目立った欠点は感じられず、5速マニュアルは回せばキビキビと走ってくれるので結構楽しめた。ほぼエアコン全開の状況で、勾配がきつめの坂道が多かったりするので、この島には MT が合う気がする。渋滞時以外...
この島の車は概ねヒュンダイに支配されていると言って良いと思う。走っている車の5割くらいはヒュンダイで、残りをトヨタ、ホンダ、スズキ、日産、三菱、フォードあたりが分け合っている。フランス側では、古めのルノーが結構走っている。小型車が多く、高級車は少ない。運転マナーはそれほど酷い印象は受けなかった。
島内には信号が殆どなく交差点はほぼロータリーなのだが、その割には交通量が多すぎで、空港から Simpson Bay の中心街へ向かう道路は常時酷い渋滞だ。たまにしびれを切らして反対車線の路肩を走る無法者が現れる。また、スクーターから大型車まで、オートバイの姿をよく見かける。オートバイは渋滞の中、車道の中央を走る。また、至る所に Bump (かまぼこ) があり、速度を抑制している。
夕方、島の南西部を1周した。いつの間にか、意味のわからない説明が付いた道路標識が現れ、フランスサイドへ入ったことが判る。Marigot の市街へ入り車を置いて少しぶらぶら。街中はなんだか沖縄の感じに似ているような、似ていないような。挨拶を交わす言葉が「ボンソワール」「サバー」と聞こえてくる。子供は圧倒的にブラック系の人たちが多い。パン屋でサラダと少しのパンを買ってその場で少し食べ、残りは夕飯として持ち帰った。
宿は海沿いの Flamingo Beach Resort というところ。海に面しており、プールと専用のビーチがある。部屋にはフルキッチン、冷蔵庫、電子レンジ、調理器具、食器などが完備されており、長期滞在で自炊が可能になっている。自分の部屋は4F の海沿い。眺めがよい。レストランはビーチにバートレストランがあり、そこで取れるようだ。当然外に出ても良い。
日曜の夜から突然風邪の症状が出始め、月曜日はほぼ寝ていた。熱は収まっているようだが突然激しい咳が出てまだ辛い状態。結局8時前には寝てしまった。
 
こんな感じの部屋。テレビはベッド側とリビング側にそれぞれある。
Hotel's room
 
部屋からの眺め。
The view from my room